記憶の天窓

好きなものの記憶

初めて好きになったアイドルの話

 

私は中学一年生で某バンドにハマってから、ずっとバンドの音楽と生きてきました。むしろ中学生の頃の私にとってよくあるJ-POPの類は少し蔑んで見ているものでした。特に“アイドル”なんかは。

 

 

2018年5月1日14時30分頃
Twitterに流れてきた漫画をきっかけに、とあるアイドルに強く惹かれました。その瞬間の時間まで覚えているのが不思議ですが、それほど強い衝撃だったんです。
元々アイドルが嫌いなわけじゃない(むしろ好き)な自分には最近になって薄々勘付いていました。ただ認めたくなかった。好きになってはいけないと思っていた。私も姉も私を育てた母もバンドの音楽育ちです。生まれた瞬間からBonJovi聞いてました(母の趣味)。だからあまりに庭が違くて、アイドルもアイドルのファンも怖かったです。

 

ただ、その時私が衝撃を受けたアイドル『二丁目の魁カミングアウト』は私が思っているアイドルと全く違っていました。
何が違っていたのか、今でも上手く説明できないのだけど、すごく真っ直ぐだったんです。上辺の言葉とか、ただの愛嬌だけじゃない、ひたすらに真っ直ぐな何かがそこにあって。それが小さな携帯の画面越しの、動画の向こうからでも充分伝わりました。バンド育ちの脳があるので、「生で見たい」と強く思いました。

 


2018年5月5日
どうしても生でライブを見たくて、毎日動画を見て、眠れない日が続いて、我慢できなくて。バイトを早上がりしてTRPに行きました。二丁魁の出番は15分?とかで本当に一瞬で。でもその15分で全部かっさらっていってしまった。
よく晴れた代々木公園のステージ。目に映える真っピンクな衣装。前方に慣れたファンの人たち(おなカマさん)が集まっている後ろで、私は全く二丁魁を知らない人たちに混じって見ていました。

最初はよくある「本物だあ」て気持ちばかりだったのですが、段々と悔しくなってきました。
というのも、二丁魁メンバー本人たちはもちろん、おなカマさんたちの熱量がすごくて。どっちがステージなのか、てくらい、熱かったんです。それに比べて私はコールも、mixも、ケチャも、何もできない。

 

何より私がこの日一番悔しかったのが、『ガチゲイ口上』でした。単純にあの量の文を覚えて叫び切ることがすごいし、それにちゃんと愛が乗っているのが傍観していた私にも分かったんです。青空に響く「ア・イ・シ・テ・ルー」を聞いて、目撃してしまってから、しばらく動けませんでした。
私はこんなに愛をぶつけられる人間になれるだろうか。なりたい、と強く思いました。

 

すごく迷ったのですが、写真を撮りに行きました。通常はチェキの特典会なのですが、TRPでは物販とかなかったので、この日は無料で本人たちと写真を撮ることができました。
結構長い時間並んでたような気がします。サッカーコート横の道で撮っていたのですが、コートの端から端まで列が続いていました。死ぬほど緊張していたのでこれくらい並ぶ時間があっても足りないくらいでしたが。

 

いよいよ自分の番になった時、どうしたらいいのか全然分かりませんでした。慣れてる人たちは親しげにメンバーと話してるけど、私初めましてだし。アイドルと写真なんか初めてだし。
慌てすぎて荷物地面に直に置いたら「そこ(台)に置いていいよ!」て四人揃って全力でフォローされました。おかげで初めましてを言い損ねました。

 

この日の時点で四人の中で誰が気になっているか決まってはいたのですが、まだそれを全面的に本人たちの前では出さないでおこうと思ってました。が。
ぺいちゃんに「白鳥じゃん」と言われ、え、なんで誰推したがってるかバレたの、と思ったら。
私その日、無意識に白鳥柄のブラウス着てたんです。
完全に無意識でした。本当に。言われるまで気づかなかった。単純に中学生の頃から気に入って着ていた服です。
戸惑っていたら白鳥さんが隣に来てくれました。白鳥さんは白くて実体があることが信じられなくて全然顔を見れなかったです。
ただどうしても初めてだったことを伝えたくて「初めてだったんですが楽しかったです」ということだけ伝えました。「たくさんライブやっているからまた来て」とミキちゃんが言ってくれました。会話していること自体が現実味なかったです。

 

終わった後も現実味がなくて、ぼんやりしたまま電車に乗って、でもデータが飛んだらいけないと思って最寄駅で降りたその足で撮った写真をコンビニで印刷して帰りました。
その日はずっとふわふわしていました。熱中症みたいになりながらまた動画を見て、小さな画面の中に戻った四人を見て、不思議な気分に浸っていました。

 

すごく楽しい日だったのですが、やはりどこか悔しさが残っていて、私はこの日のことを現場数にカウントしていません。四人も一瞬会っただけだからこの日の私のことなど覚えていないと思います。(最近推しだけはそんなことないのかもしれないと思い始めてきたけれど、実際のところは分からない)
いつか私がこの日の悔しさを昇華することができたら、現場数にカウントしたいです。

 

生まれて初めて好きになったアイドルと初めて会った話でした。

 

P.S.

2018.6.20 TRPが初現場になりました。