記憶の天窓

好きなものの記憶

好きなもののことを家族に告白できない話


0時を過ぎて家に帰って「今日も出待ちしてたの?」と母や姉に聞かれる度に、なんだかどうしようもない罪悪感に襲われます。頷いて適当に会話を終わらせて、ご飯を食べてお風呂に入って、自室の布団にたどり着いてようやく余韻に浸れます。

 

私は二丁魁が好きだということを、二丁魁のライブに行っていることを、家族には言っていません。

 

母は昔から偏見の強い人です。LGBT問題だけに関わらず、障がい者の方々とか、そういうのに対してあまり良い目をしません。別に悪気はないんでしょうが、受け入れられないんだと思います。私はその考え方が昔から不思議で、その考え方に汚染されないように意識して生きてきたような気がします。
姉とは仲は良いです。バンドのライブに一緒に行ったりします。ご飯を食べに行ったり、くだらない話を部屋でしたりします。でも拘りや意思が強くて、私の好きなものに否定的な目をすることがあります。好みが合わないだけでそんなに言わなくても、と思うこともあります。でも抵抗するのが面倒くさくていつも適当に流します。

 

私は私が大好きな二丁魁を否定されたくないです。
こんなに強く思ったのは初めてでした。どんなに好きなバンドを否定されても、傷ついても頑張って受け流していたけれど、二丁魁に対してだけはどうしてもそうされたくなかった。
否定されても傷つくのは私だけです。私が何かを間違って伝えたりしなければ、メンバーは知らないし傷つきません。
だから厳密に言うと私が傷つきたくない。全部自分のためです。二丁魁に限らず、私が好きなものを守りたいという気持ちは私が勝手に抱いているもので、本人たちにとってはそんなこと知ったこっちゃないし、いい迷惑だと思います。でもどうしても、私がこんなに大事に、大切に愛している二丁魁を貶されたくない。

 

チェキ帳と写真集は本棚の奥、CDもウォークマンに取り込んだ後はCDラックの一番奥に。二丁魁のライブに行くために買った可愛らしい指輪はジュエリーケース(という名のただの百均のケース)の中に紛れこませて、他の荷物で隠して。
我ながら必死すぎて笑っちゃうくらい必死。二丁魁にハマっていること、何度も告白しようと思った。でも無理でした。尋常じゃないくらい怖くて、口が動かなかった。

 

幸い私は元からバンドのライブに行く趣味がありました。そして、某バンドに関しては時折出待ちをすることもありました。だから「出待ちをしている」という口実を使って特典会に行って、遅い時間に帰っても変に思われないことができました。(バンド関係の時も同じ方法でTwitterのフォロワーさんと飲みに行ったりしたことが数回ある)

 

二丁魁を好きになれたこと、私はとても嬉しいです。Twitterではずーーーっとしつこく言ってますが、「初めて好きになったアイドルが二丁魁でよかった」と本当に思っています。
推しに「もうすっかり大好きになっちゃったでしょ?」と言われましたが、そんなの言われなくてもそうに決まってるでしょう。

 

家族に言えないだけで、旧友たちには私が二丁魁にハマっている話をしてあります。二丁魁の現場に行くために、着たこともなかった赤い服やピンクのスカートを買ったりしたことを話したら、とても驚いていました。
その中の一人に二丁魁を熱くプレゼンして、ライブに誘いました。1時間かけて語っていたら注文したうどんがめちゃめちゃ伸びてました。そりゃそうだ。
その子は一応今年就活生なので本当に行けるのか分からないけど、絶対に見せてあげたい。動けなくても、コールできなくても楽しいってことは私の経験から証明済みです。私は悔しかったからその後必死に覚えましたが。

 

今後私はいつまで家族に隠しておくのか分かりません。そういう気分になったら言うかもしれないし、できれば認めてほしい。
そう、本当はめっちゃ認めてほしい!いいアイドルだねって言ってほしい!胸張って現場に行って、今日も楽しかった、どこがよかった、かっこよかった、可愛かった、て言えるようになりたい。
そんな未来が欲しい。

 

たとえそんな未来がなくても、私に次があるなら、会いたくなったら現場に行きます。
あなたたちが生きてる姿を、私が生きているうちにたくさん目に焼き付けたいです。