記憶の天窓

好きなものの記憶

日記(遺体のこと)

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もっと即興的だと思っていたので、遺体のリフが聞こえてきた時はびっくりした。チャイちょっと溢したくらいには。底知れない場所をずっと歩いていたはずなのに、突然見覚えのある景色に出てきたような。
遺体を聞く時は毎回泣いているけど、唐突だったのもあって、今回は興味深いが勝って泣かなかった。とはいえ、國光さんの声で聞けるとは思わなかったけど。

 


先日祖母家の猫が亡くなった時、ペットと言えど身内が亡くなるのは久々で、家族内はそれなりにドタバタしたわけですが、いやに冷静な自分がいた。正直死を待つのみみたいな状態だったので、泣きはしてもどうしようもできないし、多分明日までもたないだろうな、という感じがした日に本当に亡くなってしまった。
家族内で看取らなかったのは私だけで、翌朝文字通り遺体の彼を見た時、あまりに綺麗で驚いた。みんなまだ眠ってるだけみたいだと言っていたけれど、私からしてみれば歴然とした死がそこにあって、空っぽのそれを見て咄嗟に美しいと思った。

 


シャウトでもポエトリーでもない國光さんの歌声をこんなにはっきり聞いたのは初めてだった。メイちゃんが歌うあどけなさや、飯田瑞規や鎌野さんが歌う神秘さはなくて、どちらかというと泥臭くて、『遺体』というタイトルのわりにはずいぶんと生きていた。生きた果てにある声と歌詞だった。
國光詞というのは歌唱に感情が乗りづらいし、超個人的には乗らない方がいいとさえ思っている。でも、國光さんが歌えば自然と感情が透けて見えるのだなと思った。上手い下手ではないし、作詞者だからというのも勿論あるかもしれない。特別な声だった。

 


終演後に外に出て、表参道の道端にいる二人がずいぶん画になっていた。さっきまでの微睡みのような空間とのギャップがすごく、そこがまた好きだった。
普通にファンと話している姿を見て、生きているなあと漠然と思った。

 

 

響万里菜卒業の話

 

2022年10月16日
囲みを撮る時に「どうぞ」と促されたもののどこに入ったらいいのかと思っていた時に、スッと隣を空けてくれた女の子。

 

それが 響万里菜 でした。

 

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2024年
卒業します、という知らせが流れたのは年明け早々の頃のことで、卒業公演が2月10日。わりと急な話だった。個人的にはシフトの休み提出も間に合ってなかった。
万里菜がさとりモンスターからいなくなること、全く実感が沸かなくて、卒業公演の日だって始まるまでずっとふわふわしていた。

 

ライブ前半のセトリはだいぶ泣かせに来てて、それと同時に「万里菜らしい」セトリだった。
『ハレルヤ!』から始まり、レア曲の『春が踊る』や『といととい』からの『となりの君へ』、楽しい!ってよりはグッと来させるような流れ。オタクがかなりボロボロ来てるわりにはメンバーはしっかりしてて、それが意外だった。なのぴはこういう時真っ先に泣きそうなのに、強くなったなと思った。(ずっとウルっと来てたらしいけど)
『はじめの季節』はこういう時じゃないと聞けないけど、やっぱりペアダンスの振付が可愛い。最後にまりなのぴで見れてよかった。
昔々、同じくこの場所ではじめの季節を歌って卒業していった子のことを少しだけ思い出した。

 

アコースティックセット

セッティング終わったかな、ってところでキーボードの接続が悪くて音割れしちゃってた時に「魔物がいますね」ってぽやんと言ってた万里菜が可愛かった。それに「まだいるねえ」て言いながら接続し直してるゲコさんもなんか良かった。万里菜の場繋ぎが上手。


2/7の対バンで万里菜に散々フラグを立てられていたので三島さん来ることはわかってたんですけど、予想以上にゆるい感じで出てきてちょっと笑った。前日のシネマのライブとの差。基本的にさとりとライブで絡みがある時の三島ってソロ仕様なので、このモードの三島をドルオタが見ることってあまりないのでは。髪切った上にゆる着だとなんか可愛さが増してとても良い。


『Colors』
万里菜のメンバーカラーってシルバーで、ペンラだと白で、衣装は大体グレーとか黒系。故に「colors」という単語から想起するカラフルさからは一歩離れたところにいるイメージなんですよね。(シルバーも黒も白もグレーもcolorだよ、ということは重々承知の上で)
その万里菜が一人で歌うColorsはこの曲の切なさとか厳しさとかがガッと際立ってちょっと苦しいくらいで。2A冒頭とかあずさんの声だから中和されてたとこある。
そんな中で差し掛かるCメロ、

空まで/響いて
あすを/結ぶんだ
ものがたり おと
途中なの

万里菜が一人一人の名前を星みたいになぞって、それぞれの色が点っていくようで美しかった。

『雨、やむな』のジャズバーみたいなアレンジ超よかった。音源化欲しい。
たぶん万里菜以上に三島さんがこの曲好き。このシネマでは絶対書かない曲調最高なんだよな。



『Dear Mr.Sunrise』
ここまでみんな涙を声に出さなかったのに、一番始めに声に出ちゃったのがもりおだったのびっくりした。

思い出なぞった指先で
未来をそっと震わせた

すごいこの状況にハマってて恐ろしいくらいの歌詞。
ねねころを迎えた歌が、万里菜を送り出す歌になった。輝かしい旅立ちの唄だよ。たとえ別れを伴おうとも。

 

普段あれだけすぐ泣くなのぴが本編中泣かなかったのすごく偉かった。むしろ腹を括ったような顔をしていたので若干心配だったのだけど、本編中泣かなかった分を取り戻すように花束渡す時にぼろぼろ泣いてて愛らしかった。
そして一番付き合い短いはずのねねころが一番顔ぐしゃぐしゃにして泣いてて申し訳ないけどちょっと笑った。一緒にいれた時間は短かっただろうけど万里菜と思い出作れたかな。

 

 

最後なんだからたくさん撮った方がいい、というのは重々承知の上で、万里菜との最後の特典会は一回しか回らないと決めてた。
私の体力がないとか言い訳がましい言い訳は色々あるんだけど、
自分の首を絞めないとまた言いたいことも言わずに終わっちゃうような気がしたからです。
私はとんでもない口下手でアイドルの前でいつも何も話せないのだけど、話せる最後の機会にそんなこと言ってられない。
コロナ禍などもあり、今まで好きになったアイドルとまともな別れ方をしたことがなくて、最後にちゃんと話せたら何を言ってただろうってよく考えてた。
万里菜との最後はかなりいつも通りで、寂しいねと言いながらも特段センチメンタルになることもなく、それが嬉しかった。
終盤にかろうじて口から出た「ずっと好きだよ」に、こちらを見た万里菜の瞳が丸くて綺麗で、この目に惚れたんだよなと思った。「それをずっと待ってた」て返事にはびっくりしたし大変申し訳なかったですが。
※私は人に可愛いとか綺麗は言えても「好き」を本当に言えない。昔ゲイアイドルにもその件で怒られてる。
泣かないでお別れできた。じゃあね、て手を振る私に「またね」って言ってくれた。それが全てだと思う。

 

ライブを見ながらずーっと走馬灯みたいに万里菜と出会ってから今日までのことが頭に流れてた。半ば忘れてたようなことまで流れてきて、その全てが大事な時間だった。出会ったばかりの頃にラス1のアクキー買って、ってしてくれたこととか、フロアライブをステージ上の端から見守ってたらいつの間にか近くに来ていて迎えに来てくれたようにすら思えたこととか、体逸らして最前管理避けてまでレス飛ばしてくれたこととか。
かっこよくて可愛くて、自分のオタクにはたくさん甘えてくれて、その実きっぱりしているところ。全部大好きだった。


さとりモンスターでいたこと、楽しい思い出であったらいいな。万里菜の人生の大切な数年をさとりモンスターにくれたこと、本当に嬉しかった。
絶対この先も幸せに、たくさんの愛情を注がれて生きてほしい。私の目に見える場所でも、見えない場所であったとしても。
いつか宿題の答え合わせをしようね。

 

またね。

 

Colorsの話

 

最近の私の好きアイドル、さとりモンスター。
(最近と表現するほどの長さではなくなってきた気もするのだけど)

そんなさとりモンスターには三島想平提供楽曲がたくさんあるのですが、今回はその中からColorsの話を。

 

 

 

と言いながらも、この曲は作詞のみが三島さんで、作曲はリッチー鎗ヶ崎さん。サウンド面も本当に良いのですが、ここでは歌詞の話をさせてください。

 


初聴時の第一印象は、三島さんにしてはだいぶ真っ直ぐな詩で来たな、というものでした。
三島さんが他のアーティストに提供する曲を全て網羅しているわけではないので何とも言えないのですが、恐らくここまでストレートなのは珍しい。メッセージ性を加えるにしても多かれ少なかれ物語性や情景を入れてくるタイプだと思っていたので、ここまでがっつり歌ってほしいことがそのまま言葉になっているのは少し意外。
でも薄っぺらくはなく、むしろアイドルが歌うにしてはちょっと泥くさい(好意の意味で言ってます)。

 


この曲における『わたし』はどちらかというと悲観的な子。
「叶わない夢もある」とため息を繰り返す子。
この時点でだいぶ大衆的なアイドル像からは外れるわけじゃないですか。アイドル通り越した向こう側の、ただの人間。
そんな子の手をとってくれる人がいるわけで。この描写はグループを想起させる。

 


サビの「輝け」とかも、キラキラした意味だけじゃなくて、願望の感覚の方が強く思えたのね。輝け、って言って輝けるのがアイドルだけど、ただの人間はそう言って輝けるわけもない。
でも『きみ』となら輝く未来に行けるかもしれない。そんな歌。

 

誰かの替わりじゃない色が
美しい景色を創っていく

三島さんはさとりを見ながら『個性』にすごく焦点を当てているんだな、というのは前々からわかっていて。
さとりはグループ立ち上げから紆余曲折あって今の形になり、立ち上げ時のメンバーは今一人もいないのだけど、今の6人は一人一人個性がバラッバラで面白いバランスなのはオタク目線にもすごく思っていて。
これは地下寄りのアイドル業界としては暗黙の了解みたいなものだけど、アイドルグループのメンバーってところによってはすごく入れ替わりが激しいんですね。
前述の通りさとりも例に漏れずなんですけど。
とはいえ、人数が減ったら足せばいい、替えがきく、なんてアイドルでも会社員でも何でも気持ちがいい話ではないじゃないですか。

誰かの替わりじゃない

人間的な個性の話だと思うよ。でも、多分ほんの少しだけ、ここはそういう意味なんじゃないかなって思っちゃうんですよね。

 


1番の『きみ』は対メンバーとか対ファンへのメッセージに思えていたのだけど、2番のサビで「あっ」となった。

瞬け、星よ
きみは、わたし
迷わないように手繋ごう


ここで『きみ』が自分自身になる。
なんかここ聞いた瞬間にびっくりしてしまって。対他者のメッセージソングだとずっと思ってたんですよ。だから急に意表つかれたというかしてやられたというか。
自分自身を見失わないための歌でもあることに気付かされた瞬間に大好きになった。

 


三島さんが歌詞で『世界』を美しいと言ったことはさとりじゃない曲であるんだけど、その時は「苦しくなるほどこの世界は美しい」だったんだよね。悔しさとか悲しみとか抱えながらも「美しい」と思っている。
多分Colorsで歌われる「美しい世界」も純粋な美しいじゃない。「これから起こるすべてのこと」も、きっと楽しいことだけじゃない。それでも彩っていくこと。

 

 

Cメロこそ表記を初めて見た瞬間にひっくり返ってしまった。歌詞中に「さとり」が入ってくることでさとりモンスターの曲だと明言するようなことは多々あった。
でも、さっきの替わりの話にも若干結びつくのだけど、こんなの普通に博打じゃないですか。

三島さんはこの曲の案が上がってきた時に「歌詞を書かせてほしい」と自分から言ったそうな。その時にどこまで決めてたのかは知らない。ここまで大胆な手に出れる人だとは思わなかった。
多分、いつかさとりモンスターじゃなくなっても、さとりモンスターであったことを誇りに思えるように。この6人でいたことを刻むために。



三島さんはある程度人となりがわかれば当てがきができる人です。むしろ積極的にする人です。
この曲が発表された時の三島さんのコメントに
「メンバーそれぞれの様々な感情の器になれるような言葉をあげたい」
というのがあったのね。
「宝物になるように」とかがありがちに思うのだけど、「器になれるような」という言い回しは初めて聞いた。その言い回しは本当に三島想平くらいしか使わないのでは。

大事にしてもらいたい、とかじゃない(大事にはしてほしいだろうけどきっとそこが主ではなくて)。
楽しい、嬉しい、悲しい、怒り、幸せ、その全てを受け止めて支えになるような曲をあげたかったのかな、というのが素人目の所感です。だから綺麗な情景描写や物語性を少なくして、とにかく真っ直ぐな言葉に振り切ったのかな。
アイドルとしても、人間としても、生きていく上で塗れる感情と希望の歌。三島想平にしか書けない、アイドルへの究極の歌詞だと思う。

 

 

cinema staffと私の話

 

cinema staffというバンドが好きです。
いや好きどころじゃない感情に襲われることが多々あるけど、わかりやすく言えば「好き」です。
シネマを好きになってそれなりの年月が経ち、そんな何を今更、というところなのですが、最近のシネマはあまりにも良すぎる。

昔がちょっと、とかそういう意味ではない。昔から良かった。ただ、今が最高。多分この先も最高。「最高」を最近すごく身に染みて感じる。私の歳とか、それなりの年月の中での自分の中での感じ方の変化とか色々あるんだと思う。

 

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ガチの枕元(もう数年間ずっとこのまま)

 

 

2014年10月19日

時は約9年前。当時高校生の私は某対バンイベントに行っていた。その頃の私はピープルが大好きで、ほとんどピープル見たさにそこに行っていて、正直シネマに関しては超にわかだった。ピープルと仲良いバンド、くらいの理解しかなかった。一応興味はあったので数曲予習して行った気がする、けど、この時点では「そこまで好みじゃない」と思った。まあ激しい音楽に耳が慣れてなくてすぐ疲れちゃったんですよね。楽しいけど長く聞いていられない感じ。
そこの物販で当時シールが売られてて(出演バンドマンの絵のランダムシール・更にランダムでサイン入りがある)、それをすごい適当な感じで3枚くらい引いたら三島想平のサイン入りを引き当てた。※今思うと三島いっぱいサイン書いてくれてたんだよね、ありがとうございます…

その後初めてシネマのライブを見た。詳しくないから、と思ってすごい後ろでゆるっと見るつもりだった。ZEPP Divercityの段下。見やすくて今でも好きな会場だけど、演者の表情とかまでは見えづらいし雰囲気だけ感じられれば、というつもりだった。

が、そこですごいものを見た。あまり細かいことはもう何も覚えてないのだけど、とにかくとんでもなかった。
漠然としすぎてて何も伝わらないと思うのだけど、見たこともない熱量に面食らってしまって気づいたら腕上げてた。
自主的に腕を上げたくなる感覚というのは人生で初めてだったように思う。それこそピープルは腕を上げないノリのバンドだし、当時既に好きだったバンドは一体感欲しさに上げていた気がする。義務感に近い。
でもシネマを見ながら感じたこの衝動は「自分が上げたいから上げる」の一点だった。当時前方で見ていたシネマのファンもそうだったように思う。一人一人の熱量とステージ上の熱量が一体化してビックバンみたいになってた、その一瞬の光景だけが今でも頭に残っている。
なんだこれ。なんだこれ、すごい。呆気にとられている間にライブが終わって「なんかすごいものを見た」という印象だけが頭に残ることになる。
ライブの前だか後だったか、物販に出てきていた三島さんに会う。さっきサイン入りのシール引けたんです〜という話をしながら買ったポーチにサインをしてもらう。サイン入れてもらったがために購入後数秒で使えなくなったポーチ。今だにベッド脇に置いてある。今思うと三島運が初っ端からすごい。

 


ライブがとんでもなかっただけに、もっとシネマの曲聞きたい!となる。が、前述の通り耳が受け付けなくて一度に色んな曲が聞けない。今となっては信じられない話だが、特にシャウトがだめだった。今まで触れてこなかった領域だけに慣れるのにすごい苦労した。
これに関してはシネマは全く悪くない。単純に個人の音楽経験値と好みの差だと思う。どちらかというとポップなものを好んできたし(ピープルは癖強い方だけど)、ハードめな音楽は聞いてこなかったので、この手の音の激しさはシネマが初めてだったのである。
だが何としても聞けるようになりたかったので、一日三曲、から始めた。慣れるまではそれが限界だった。
そこまで無理して聞く必要ある?という感じだが、そこまでしてでも聞きたかったのである。何故だったのかは今となっては知らん。当時の私の謎の執念だった。

 

 

2015年6月26日

『blueprint』がリリースされ、初めてシネマのワンマンに行く。元々どのバンドにしてもベースが好きだったので下手に立つ。まさかその後現在に至るまで下手に執着するようになるとは知らず。

初めて前方で見るシネマはやはりすごかった。あの日と同じZEPP Divercityでも、あの時遠くから見た衝撃の比じゃない圧が間近で広がる。
めちゃくちゃ音でかいし激しいしまとまってるのかもわからん、けど、小さくまとまるくらいなら爆発してやる、くらいの気迫。絶対にシネマでしか感じ得ないものだった。

この日のアンコールで飯田瑞規が泣いていた。曲中とかじゃなく、曲始める前のMC中に。ステージ上でこんな素直に泣き出す人いるんだ、と思うと同時にめちゃくちゃ純粋なんだな、と漠然と思った。
(ものすごい余談:この時のこととか、後の休養とか思い出す度に、今ライブ楽しくて終わりたくない!てなる飯田瑞規の姿が嬉しくて仕方ない。そんな未来が来てよかった。)

泣き出した時にステージ上には飯田さんと三島さんしかいなくて、三島さんどうするんだろう…と思いながら見たら、三島さんは少し顔を伏せたまま腕を組んで泣き止むのをじっと待ってた。何か言うでもなく目すら向けずに待っているのを見て、なぜかわからないけどすごい安心した。この人はこういう時にフォローしたりするのではなく、「待っててくれる」んだ、と思ったらこの人についていきたい、と思った。
今思い返すとこの日のライブは多幸感だけではなくて、焦燥感みたいなものすら感じて、いい意味でかなり泥臭かった。それが好きでこの日のライブ映像が入ってるDVDを今だにしょっちゅう見ている。

 

 

その後、リリースツアーの東京公演には必ず行ったり、たまに対バンを見に行ったりとそれなりにハマる。
が、実はそのまま今に至るまで絶え間なく定期的にライブに通っていたかと言われるとそうでもない。
2018年〜2019年頃の私はアイドルにハマっていたので極端にシネマのライブに行っていなかった。別にアイドルに夢中になってた時間が無駄だったとか言いたいわけではない。アイドルのことは今も大事だしもっと要領良く両立することだってできた。そこに後悔がないわけではない。今のシネマの良さ見てると「なんであの時、」ってならないわけないじゃん。すごい良いんだもん。行けそうなタイミングは何度かあったのだけど色々あり、結局ちゃんとライブに行けたのは2019年のベストツアーだった。

 


2019年11月16日

この日のライブが本当に良かった。実はこの日も直前までアイドルのライブを見ていて、その足で急いで渋谷に出た。整番も別に良くはなかったし、会場は渋谷クアトロ。お察しの通り無理に下手に行くとかえって何も見えないので、無理せず真ん中らへんに適当に立つ。
正直、まあシネマのライブなら勝手はわかってるし、と油断していた。すごく単純なことに開演するまで気づかなかった。
わたし、真ん中からシネマのライブ見たことない。

こんなに飛び出してくる辻さんを真正面から見たのは初めてだった。人波の中に突っ込んでくる辻さんがありえんくらい立体(それはそう)で、キラキラしてて、眩しかった。その奥に見える久野さんも笑ってて、久野さんってこんな顔しながら演奏してるんだってことも初めて知った。そんな当たり前のことにこの時気づいた。

この人たちはなんて眩しいんだろう。こんなに迸っているんだろう。考えているうちに泣けてきてしまって一周回ってしんどくすらあった。
ちゃんとこの人たちを見てないと駄目だ。追いかけていないと駄目だ。そう思って再びシネマに舞い戻ったのだけど、程なくしてコロナ禍がやってきた。

 

 

2022年10月8日

過呼吸一歩手前状態で電車に乗っていた。2020年頃からの不調でかなり体調に波があるのだが、数日前に色々あった影響でこの日は確実に「良くない」日だった。それでもどうにか意地で向かったのは野音に立つシネマを見たかったからだった。2017年に見たときは雨だった。この日は雨天日と雨天日に挟まれた曇り。雨日にライブが被りがちなシネマにとって奇跡みたいな天気だった。

開演ギリギリまで微妙な体調が続いていたのだけど、始まった瞬間に全部治った。ライブハウスじゃなくて野外だったのも幸いしたのかもしれない。でもそれより、好きな人たちが出てきて、好きな音が鳴った途端にあらゆる不調が全部蒸発した。
この日の一曲目はdramaだった。初めてワンマンを見たあの日を思い出した。

自分の性格って自分が決めてるんじゃくて他人が決めてるのかも、の話を飯田さんがしていた(飯田瑞規のこういう話大好き)。
優しい人だねって言われるから優しくなる、とか。俺らはかっこいいって言ってもらえる(もらいたい)から、かっこよくいるんだよ、てな感じの話。
※解釈違いだったらすみません、私はこう受け取ったよ、という話が以下。
ファンとして、応援してる相手(アイドル、バンドマンなんでもいいけど)に自分の意識が作用してるって考えたことあるだろうか。
正直ファンはかっこいいと思った時からかっこいいフィルターがかかってるから、何しててもかっこよく見えるのよ。黙って立ってるだけでかっこよく見えることだってザラだし。でも実はフィルターをかけてるのはこちらだけじゃなくて向こうもで、かっこよく見えるようにしてくれていた。私がアイドル追ってた時期も変わらずそこにいてくれて、離れなくて、離れてくれなくて、ずっとずっとかっこよくいてくれた。
私がcinema staffをかっこいいと思っていたのは何も間違いではなかった。と思ったら涙がぶわあとなってしまってめちゃめちゃ急いで引っ込めた。好きになって何年も経つけれど、ずっとそばにいてくれたね。

最後まで雨は降らなかった。少し曇った空を見て「ざまあみろですよ」と笑った三島さんの顔が大好きだった。ここに来るまでに抱えていた色んなものが、その顔で救われた。
帰宅して部屋から見上げた月が綺麗だった。そんな夜だった。

 


そんな野音の数日後にシネマ本体とは関係ない現場で、私は三島想平と出会えてよかったと本気でしみじみ思うことになるのだが、ものすごく長くなるのでそれはまた別のお話。

 

 

2023年8月6日

祭りでやたら浮かれまくっている水戸にいた。ライブハウス以外の人混みが本当に苦手だし暑いしでまたしても開演直前までくたばりかけていた。
が、この日また私はとんでもないライブを目にする。

水戸LIGHT HOUSEは入口〜ロビーのコンパクトさからは想像できないフロアの造りをしていた。天井が高く、二階まである。三島さんが「ライトハウスも相性いい気かするんですよね」と言っていた(詳細は省くがこの少し前に三島さんとちょっとだけ直接話す機会があった)意味がわかった気がした。小箱のシネマと広い会場のシネマのいいとこ取りをできる。
始まった瞬間こそ多少の緊張感はあれど、二曲目あたりから動揺してしまった。

飯田瑞規ってこんなに声出るっけ??

いつものライブですら飯田さんの声はすごい。この轟音に負けない力を持っている。ただ、今日はなんか違う。伸びと張りがえげつない。上手にいたら吹っ飛ばされそうだ。

その声に呼応するように楽器隊の気迫が増す。シネマは普段からすごいけど、時々こういう言葉で形容しがたいえげつなさを発揮してくる瞬間がある。今日はその瞬間が終始続いている感覚。
「なんか今日すごくない!?」と興奮気味に飯田瑞規が言うのを見て笑ってしまう。すごいのはあなただ。

このツアーはここまでアンコール一曲だったのだけど、この日は一曲目終わりでまだ音が鳴り止まなかった。三島さんがマイクスタンドをフロアに下ろすのを見てフロアがそわっとするのがわかる。

Poltergeistだ、とわかった瞬間に前方に人が押し寄せるのをにやにやしながら見送った。大体体調が追いつかないから私はこういう時行かない方だけど、喜んで走っていく人の後ろ姿が大好き。
アンコールのPoltergeistというと、コロナ前はもう後はどうなってもいい、って時、要は最後の最後で繰り出されていた気がするのだけど、近年は本編に入ったりそもそもやらなかったりしていた。だからこの段階のPoltergeistは嬉しくて仕方なかった。今日いける、と判断してくれた気持ちが嬉しかった。ここまで演者とフロアの「今日やばい!いける!」って感覚が一致したのは初めて見た。

終演後、急足で帰路を歩きながら堪えきれない声が漏れた。街が祭りでよかった。多幸感で多少呻きながら歩いている人間など誰も気にしない。
この夜が一生続けばいいのに。この感覚をずっと自分のなかで一秒も忘れずに閉じ込めておけたら。冗談抜きに思った。すごくすごく大切な日だった。

 

 


そんな水戸公演で感情が溢れかえって、今。唐突に「そうだ、今までを振り返ろう」と何の脈略もなく書き始めた、ただの日記。
何が言いたいかというと、cinema staffっていつ見てもかっけーな、大好きだわ、と、ただそれだけのことなんです。
きっと今私が愛しくてたまらない水戸公演も超えていく日がやってくる。どんどんかっこいいを更新していく。この人たちをずっと見ていないと駄目だ、と思ったのは間違いじゃない。ただ、「見てないと駄目」は私の感覚の話で、実際ちょっと離れたくらいじゃもう離してくれないのは知ってる。一回離れたから気づいた。もう大丈夫。ずっと好きでいられる。

 

ずっと大切。

 

 

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おかげさまで出会った日をずっと覚えていられる

 

さとりモンスター『下北物語』ファイナルの話

 

11月26日
さとりモンスターツアー『下北物語』ファイナルでした

 

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さとりちゃんは超初期(いわゆるオリジナルメンバー)の頃〜メンバー数変動期にちょこちょこ通ってたのですが、そこから好きな子が抜けたのを期に一、二年離れてました。曲はずっと聞いてたけど。
戻ってくるきっかけになったのが10/16の下北物語で、その時にファイナル行きたいなあ、と思い。


いざファイナルの日、仕事終わり猛ダッシュしてSE鳴ってる中フロアに入った。下北沢駅に着くのが開演時間過ぎてるくらいなのに間に合わんやろ!と思ってたのだけど間に合った。後から知ったけど開演押してたらしい。


さとりちゃんはSE鳴ってから〜登場〜開始までが長い方。バンドマンくらい長い。私もめちゃめちゃ焦ってきたので何も落としてないかな、と鞄確認して顔上げたら
知らない子出てきた。
ただ私も私で疲労で頭働いてなくて新メンどうこうというより璃音ってなんて読むんだろ、てことしか考えてなかった。

で、この新メン「森崎璃音」ちゃんがすごくて。
新メンって当日発表だとしてもアンコールから参加、とか一曲だけ参加、発表だけで本参加は後日、とかが多いような気がしてたのだけど、
初登場にして本編〜アンコールまで21曲やりきった。
何よりスペックが高い。歌上手い、踊れる、顔が良い。21曲覚えきる努力。
この感じ知ってる、追加戦士だ……。

 


一曲目、知らない曲始まった
※『神話級ハッピーエンド』
さとりちゃんにありそうでなかったファンシー感。さとりパイオニアの雰囲気をもっとポップに可愛くした感じ。
振付が超かわいいんだけど振りコピするのなんか気恥ずかしいやつだった。



『Dance in the moment』
神話級までがプロローグでここから本編みたいな。
ていうかこれを二曲目にしてくれるの、泣いてしまうね……。別に泣き曲じゃないんだけどオタクは泣いてたよ。

 

『ハレルヤ!』
発表当初そんなでもなかったんだけど最近すごい好きになった曲。わりとシネマサウンドに雰囲気近い。
ゴーインマイウェイとかもそうなんだけど、さとりちゃんのかっこいいと可愛いが同居する瞬間がすごい好き。普通に私がヒーローモチーフの振付に弱いのもある。
1Bの結凛ちゃんと「全然嘘じゃないもん」のまりちゃんがお気に入りです。


『さとりパイオニア
これ新体制で解禁されたのは知ってたんだけど見るのすーごい怖かった。
1Aの「脳がとろけるほどに〜」が個人的に大切なパートで、誰の歌割りになるのか本当に怖かった。いや別に誰が歌っても構いやしないんだけど、誰が歌うのかを知る恐怖というか。
で、いざ始まったら。
まりちゃんだった。
1Aで泣いてるオタクさすがに私しかおらんよ。ドライアイが急な水分に耐えきれなくて暴発してめっちゃ目痛かった。嬉し泣きです。7割くらい視界死んでた。
まりちゃんの歌声ってクールビューティーさあるからこういう可愛いフレーズ割り当ててくれるのちょっと意外だった。助かります。主に私が。


『となりの君へ』
これも見るのすごい楽しみだった!今度は怖くないです純粋に楽しみにしてた。前体制の時も結局見れてなかったので……。
振付が解釈一致すぎる。Aメロの歌う子以外しゃがむとこの宗教?信仰?感が大好き。
つきちゃんがこの曲の世界観表すのがすごい上手で見惚れてしまったな。歌ってないとこも表情管理が完璧。他の元気曲でニコニコしてる分、こういう曲で温度差出すの上手い。
照明暗めなのもありがたかったです。こういう曲は顔が見えづらい方が好き。

 

『サトリンゴの魔法』
インターバル挟んでここからのセクションがめちゃめちゃツボだった。
聞く度になんじゃこの曲って思うけど音がかっこよすぎてそれどころじゃなくなるやつ。わりと可愛いこと歌ってるはずなのになんか殺伐とした雰囲気出てるの面白い。終始真顔なのもツボ。

 

『雨、やむな』
絶対シネマじゃ書かない曲調、でありながらアイドルが歌うにしてもちょっと斬新な曲。A〜Bメロのセンチメンタルさからサビでパッと明るくなるのが気持ちいい。
でもA〜Bメロの雰囲気がサビのアイドルみに掻っ攫われちゃうの勿体無いんだよなあとも少し思ってた。サビの振付が手くるくるするキャッチーなやつだからってのもあるんだけど。
と、思ってたらまさかのサビ振付大幅変更。
曲の世界観がぐっと広がるゆったりさとダイナミックさ。元々の手くるくるが一瞬しか出てこない。
やってることははじめの季節の構成に似た2・2・2のペアダンスなんだけど真ん中の2人がすごいことになってる。バレエの要素とかも入ってた?1サビがまり・ゆり、2サビがまり・つき。
となりの君へとかもそうなんだけど、最後のキメの振付がしっかり余韻残す終わり方が大好き。

 

『といととい』
個人的にこの曲に激重感情を抱き過ぎてて聞く度に発狂しかけてる気がする。
出だしの結凛ちゃんの歌い方が完璧。これに関しては温度感がなければないほど良い。
「愛を歌うな」のまりちゃん、「愛を歌って」の結凛ちゃん、の歌割りなんかわかる。
※「愛を歌わないで」の飯田瑞規というのも存在するのだけど別口の話になるので割愛

 

『はじめの季節』
6人になったら何ができると思う?
はじめの季節ができます!!!!
※サビがペアダンスなので奇数だとどうしても一人あぶれる
新体制初披露はバンド編成verだったから、振付ありで見れるのは初。ペアダンスが本当に可愛いんだ…。
「闇に包まれて〜」の歌割りがちゃんと結凛ちゃんなの良い。メンカラ紫の宿命。
となりの君へ〜といとといまでアンニュイな雰囲気が続いた分、そんな優しい顔で歌われるとオタク泣いちゃう。

 

『英雄讃歌 ver.2022』
なんやかんやこれが一番。
旧振付もお気に入りだったんだけどver.2022のも振りコピしやすくて好き。
歌い出しと落ちサビのなのぴのエース感。頼もしすぎる。世田谷下北端っこで涙が止まらなくなってるのに。大きくなったねなのぴ……(母?)

 

『ゴーインマイウェイ』
これかっっっこいいんだよね。まりちゃんの「正しく飴と鞭」がイケメン。というかまりちゃんが曲中全編通してイケメン。
現メンバーはみんな機動力あるから、こういう速くて振りのポイントが細かい曲は見栄えする。Bメロの音ハメめっちゃ気持ちいい。



アンコール登場後のMCにて泣いちゃうなのぴ。でも泣いた理由は自分のことじゃなくてもりおちゃんのことで。事前予告ゼロで登場=新メン発表なプレッシャーとか、泣き言ひとつ言わず練習についてきたこととか。初めてメンバーの前で見せる涙が自分のことじゃないあたり、すごくなのぴらしい。
でもねなのぴ、6人体制のフォーメーション覚えながら5人体制の公演こなしてた5人もすごいんだよ。
泣いてるなのぴ見てたら私まで号泣してたんだけどオタク涙腺弱過ぎだな……。

 

『寿司とTシャツのあたし』
さとモンのニューキラーチューン。というかカバー曲なのよねこれ。カバー曲とは思えないほど馴染んでるけど。
あずさんの「あなたのお命頂戴baby」が癖になる。なんだろう、このあずさんにしかできないトーン。
出だしの結凛ちゃんの歌声の大人っぽさ。直前の青になるとのギャップよ。
まりちゃんの「ポンポン!」の手拍子煽りいつ見ても可愛いね……。

 

『春夏秋冬狂想曲 ver.2022』
超大団円で泣いた。フロアみんな踊っててハピネス空間すぎた。
新体制なってからのアッパー曲でこれだけずっと回収できなくて、うずうずしてたんだけどようやく見れた。
走馬灯見てる気分だったので正直記憶がほとんどない。楽しかった感覚だけ残ってる。


最後に『神話級ハッピーエンド』もう一回やって締め。
6人編成に目が慣れた状態で見るとまた印象が違う。見てる側もこの6人でやっていくんだなあとしみじみする余裕がある。
1期OPが英雄讃歌で2期OPがゴーインマイウェイ、2期追加戦士入ってからのOPが神話級ハッピーエンドって感じ。(節目の曲なのでそれはそう)
私一生もりおちゃんのこと追加戦士と呼んでそうだな…。

 

というわけで久々のさとりちゃんのワンマン、というかアイドルのワンマン自体久々だったのですが、超楽しかった。
元々さとりちゃんの曲のオタクみたいな私が、ちゃんとライブを楽しめるのは当人たちの魅力があってこそ。デビューからここに至るまで、色んな編成のさとりちゃんを遠巻きながら知ってるけど、間違いなく今のさとりちゃんが一番かっこいいよ。かっこいいという褒め言葉がアイドルに対して正しいのかどうかは謎だけど……。
10/16に一度久々に見れれば、と思っていたのに気づいたら定期的に見たくなってるし。次は新たなツアーと定期公演が決まってるそうで。私もまた見に行けたらな〜という所存です。

 

 

 

初めて名前を呼ばれた日の話

 

2018.5.22
THEATER GAY LIVE

 

初夏の坂道を駆け上りライブを初めて見て、四人と会ってから約二週間が経った。
私は物心ついて初めて着る真っ赤な服を着て電車に乗っていた。鏡で見た時は大丈夫だと思っていたのに、外に出た途端に似合っているか不安になる。この服を買う時、母には気が触れたのかと思われた。何せ私が普段着る服は黒か青、おおよそ暖色の服を買うということはまずありえない。しかし初めて四人を見た時のピンク衣装の衝撃が頭から離れず、赤かピンクの服が欲しいと念仏のように唱え続け、どうにか手に入れたのがこの服だった。特段派手な服ではない。むしろシンプルなのだが、私が赤い服を着ているという状況の異様さに自分で困惑していた。


かくして私は秋葉原に向かっていた。これもまた私にしては異様な状況だった。自宅から特別遠いわけではないが、行ったことのない地だった。嫌悪していたわけではなく、単純に用がなかった。アニメにもメイドにも電気屋にも特に興味はなかった。強いて言うなら駅のミルクスタンドにとても惹かれた。(私はバイキング等のフリードリンクで牛乳があると飛んで喜ぶタイプである)
そんな私がなぜ秋葉原に向かっているかというと、無論ライブのためだった。アイドルのライブを見るために。母には六本木でバンドのライブを見ると言ってある。当時母にはまだ私がアイドルにハマった事実を伝えていなかった。
秋葉原の駅に降り立ち、ミルクスタンドでひとしきり(心の中で)(一人で)はしゃいで、改札を出た所で既に自宅まで引き返したくなった。そのくらい秋葉原の町が持ってる空気の不思議さはすごい。
メイドが平然と道端にいる中を早歩きで通り過ぎて、ようやく会場にたどり着いた頃にはへとへとに疲れ果てていた。そして早く来すぎたからか、まだほとんど人がいなかった。とりあえずチケットを引き換えて廊下でぼんやりとしていると、徐々に人が集まってきた。集まってくる人も、私が過ごしてきた界隈とは全く雰囲気が違くてそれだけですごく怖かった。年齢とか関係なくみんな可愛らしくて服の色味が明るい。
近くにいた人たちの整番の話が聞こえ、廊下の隅にあったお手洗いに飛び込み、そこに閉じこもっていた。引き換えて財布にしまい込んでいたチケットを確認する。『12』の数字の重さが指先にのしかかった。行きなれているバンドのライブなら、ここまで動揺しない。これより良い数字を取ったことも数回ある。しかしここはアイドルの現場だ。脳裏に二週間前のライブの景色が蘇る。あれに馴染める自信は皆無だった。

 


開場時刻が近づいてお手洗いを出ると、人で廊下がいっぱいになっていた。番号故にすぐに入場待機列に並んだが、気さくに話しかけ合う人たちの中孤独に並ぶのが気まずくて逃げ出したくなる。
いざ会場に入ると、今まで見たことのない仕様に困惑した。着席と聞くとホールの一人一人区切られている席しか見たことがなかったのだが、ここは区切りのない長い椅子が並ぶ会場だった。「ライブで良番とったら最前行く」という私の個人的な固定概念からか、あれだけ怖がっていたわりには自然と上手最前の椅子目がけて歩いていた。
席に座った後、隣にいた人の友達らしき人がほんの少し後から来た。一つ隣にずれてその人を入れた。お礼を言われたが全然構わなかったしむしろもっと端でもいい、しかし見えないのは嫌だ、という葛藤を頭の中で繰り返していた。隣に来た人の「今背骨折れてる」話を盗み聞きして気を紛らわせていた。骨折してるのにライブに来て大丈夫だったのだろうか。(背もたれのない椅子に座れるくらいだから元気だったのだろうが)


開演までの間、物販に行こうと決意して席を立った。なお私の緊張状態は続いている。何せ買うものが多い。CD2枚(この時はGAY②までしか出ていない)、写真集、できればランチェキ。チェキ券はCDと写真集に付いてくる塩チェキ券をその場でグレードアップしてしまおうと思っていた。思うまではいいが、注文が多い上にややこしいことに並んでる中で気づいた。ほとんどの人がチェキ券とランチェキの購入のみで済ませる中でこの注文量は物販のお姉さん方にとても申し訳なかったが、すごく丁寧に会計してくれた。この頃は新規列とかなかったが、恐らく私はどう見ても新規だっただろう。
席に戻ってから写真集の後半のページをチラッと見てしまい、己の首を締めて緊張状態を加速させた。
ふと顔を上げると柵が目の前で、ステージが本当に近い。心拍が自分でもわかるほど尋常じゃない速度になっている。さっき飲んだ牛乳が戻ってきそうで、ドリンクでもらったオレンジジュースを流し込んで気を紛らわせていた。

 


目の前が暗くなってついに緊張で倒れたか、と思ったが単に会場が暗くなっただけだった。始まる。
ぺいちゃんのアナウンスを聞きながら、ステージ後方のモニターに映っているGAYのロゴマークの白い光をじっと眺めていた。盛り上がる準備できてる〜?とかに全然応えられない。どう足掻いても声が出なかった。
始まって、四人が出てきた瞬間に目が眩んだのは照明のせいだけじゃなかったはずだ。TRPでも見た、真っピンクの衣装が今日は最初から目の前にあった。黒、グレー、紺、みたいなバンドマンの暗い色味の私服ばかり見て過ごしていた私にはやや目に痛くて、でもとてつもなく可愛かった。
振りもコールも全く分からなかった。ただ、振りコピはできるようになりたい意思があったので、ついていけないながら小さく踊った。真似してみて分かる、指の閉じ方、動き方、振付の細かいこだわり。私の知っている『アイドル』とは明らかにキレが違う。(当時の私はミキちゃんが振付師とかもあまり理解していない)
『マイノリティーサイレン』で私は知らない人と肩を組んでいいのか、と思ったが両隣から腕が回ってきてこれは逃れられないと悟った。背骨が折れてる隣の人にも気をつけながら腕を回した。
その後数曲毎に衣装を2回変えてくれたのだが、四人で着替えタイムに入って、ウエディング衣装で一番最初にカーテンから出てきた推しの姿を未だに思い出せる。当時の私はウエディング衣装が一番好きで、見れること自体が夢のようだったのだが、とにかく推しが綺麗すぎる。
そのまま入った撮影可能の『病める時も健やかなる時も』が本当に良かった。私はこの時、この曲の振付は初見だったのだけど、優雅で可愛くて楽しそうで、終始幸せだった。ミキちゃんと推しに目線をもらったのは幻覚のような気すらしたが、写真を見直す限り幻覚ではなかったようだ。

 


終演し、しばし放心した後、チェキ列に並ばなければと思いどうにか立ち上がった。列は既にフロア内の外周の半分くらいまで伸びていた。
戸惑いながら最後尾の札を受け取る。前のお兄さんは立派な一眼に収めた写真を見ながら可愛さに悶えていた。
チェキなんて撮ったことなかった。高校の頃周囲で流行っていたが、私はそんなものを使う相手もそもそも友達もいなかったので、触れたこともなかった。それなりに長い列だったはずだが、全く長く感じなかった。気づいたら四人が見えてきて、再び心拍が異常な速さになっていた。


囲み、ミキツーショ、ハクツーショ。
周りの人の見様見真似で注文を脳内で反芻し、そのまま口に出してスタッフさんに券を渡す。「どうぞ」と促されたものの大縄に入れない子みたいになってしまった。
そもそもこれは初めましてと言った方がいいのか。一度会ったものの覚えられている定で入るのもいかがなものか。0.5秒くらいで様々な考えが脳内を駆け巡り、結果軽く会釈をして真ん中に入った。
囲みを撮る前か撮った後か、ぺいちゃんが「指輪可愛い」と私の指をまじまじと見ていた。
ミキツーショになって、あまりの距離の近さに心臓が口から出そうになった。すごくいい匂いがする。私の手を摑んだ手が大きかった。「今日すごいいい位置で見てたじゃん」と言われ、驚いたのだが己の口からは「あ、はい」というあまりにもあっさりした返事しか出なかった。
もうここで倒れるかもしれない。と思いながらどうにか意識を保っていると、不意に右横から声がした。
「ぐれこ?」
まだふわふわしている私の肩を軽くつつく指の感触。
「ねえ、あなたぐれこでしょ?」
あれだけ熱が上がっていた自分の体が急速に冷えていく。事態を把握できないまま隣を見る。
白。
白い。
いや、服は黒い。顔が白い。
星空を凝縮して閉じ込めたみたいな瞳が私を見ていた。
全く動けなくなり、「へ?え、なんで」と間抜けな声だけを発した。そこまできてから、右耳に付けてきたイヤリングの存在を思い出して悟った。
『Hく』のキーボードのイヤリング。デザフェスで見つけて、絶対現場に付けていこう!と思った品だった。このイヤリングのことを以前ツイートしたことがあった。しかし、だからといって把握しているとは。まだハマって1ヶ月も経っていないのに。
「これ、ハクちゃんだなと思って買ったんです」
辛うじて言葉になったが、うっかりハクちゃんと呼んでしまう。それすらすぐには自覚できないほどパニックになっていた。
「うん、私これ見たもん」
得意げに言う声を聞きながらツーショを撮られる。一連の衝撃ですっかり腰が抜けそうになってしまい、後ろの壁に支えられながらなんとか立っていた。不思議がる私の横で「私たちネトストだからね」とミキちゃんが言っていた。
別れる直前、「あんたのおなカマネームネトストね!」とミキちゃんに言われ、「わかりました、それでいきます」と答えた。(それでいかなかったけど)

 


廊下に出てチェキを見る。まだ浮かび上がりきっていないチェキをその場で凝視していた。少し全体像が見えてきたところで、恥ずかしくなって目を当てられなくなる。チェキを持ったまま階段を上がり、地上に出た。駅までの道はもう思い出せなかったが、灯りの多い方向に歩くとすぐに見えた。
夢かもしれない、とわりと本気で思った。
目を覚ましたら私はいつも通り自室のベッドでいつも通りバンドの音楽を聞いていて、目に眩しいピンク色もキラキラの笑顔もこの人たちのことが本当に好きで仕方ないかもしれないと思った瞬間も、何もかも知らないままなんじゃないか、と。
現実味の薄い意識と現実を繋いでいるのは、手のひらに収まってしまうたった3枚の写真だった。
TRPの帰り、携帯を抱えて帰ったのと同じように、チェキを大事に抱えて何度か見直しながら帰った。

 

 

1年記念日の話

 

※5月1日に上げるはずでしたがなぜか渋って今日になりました。5月1日の気分で読んでください。

 


二丁魁を好きになって一年が経ちました。
「好きになって」一年なので、そこから私が初夏の坂道を駆け上って四人に会いに行くのはまた別のお話。


本人たちにとっては8周年で、推しにとっては2周年で、世の中的には改元で、ご都合主義で決めたオタクの記念日などはどうでもいい前提で私の自分語りを始めます。

 


二丁魁を「好きになった」のはTwitterで流れてきた漫画がきっかけでした。それまで名前も存在も知らなかった彼らのことであっという間に頭がいっぱいになり、彼らの行く先を追うことが私の日常になりました。
正直、初めて生でライブを見た日より、初めてまともに言葉を交わした日より(そんな日も私にとって大事な記念日である前提で)、私にとってはこの「二丁魁を好きになった瞬間」が一番大切です。この先もきっとそう。

 


二丁魁はファン一人一人と大切に向き合って思い出を作ってくれるから、私にもこの一年でたくさんの思い出ができました。
ここまで来るのが正直簡単ではなかった。アイドル側からもオタク側からも愛が深すぎて、とんでもない現場だなと未だに思ってます。
バンドのファンは良くも悪くも放任主義なので、向こうから何か返ってくることが基本ありえないから、なおさら驚いた。
その愛に私が追いつけているとは到底思えないことばかりで、もうやめようと思ったことはかなりあります。それでもやめなかったのは、その度に何かしらの巡り合わせがあったからです。
推しに一発でアカウント名を当てられたこと、
不安な時に特典会で推しが手を握ってくれていたこと、
夢にミキちゃんが出てきたこと、
ライブ中に号泣した後に特典会でぺいちゃんが抱きしめてくれたこと、
豪雨の中で向かった遠征先のライブ、
推しのファッションショー、
この世で一番美しかったぺいちゃんの一オクターブ低い青春の2A、
雨の日の最前のカエル、
ミキちゃん不調時のきまるちゃんのリバ無双、
推しが壁画になってしまったこと、
ソーラン節、
ステラボールのきまるちゃんの挨拶、
アンハッピーバースデー、
やめようと思う度に引き戻されて、気づいたら一年が経とうとしていました。私はあれだけ渋っていたコールができるようになって、特典会の様子はおかしくなったけど、ずっと好きだった。

 


それらの思い出の近くに必ず知ってるオタクの姿があるのが不思議なもので、ここに来てから異常に友達が増えました。一緒にご飯を食べたり、真夏の竹下通りを一緒に爆走したり、会場前に一緒に並んだりするような友達がいることに、今だに自分で信じられない。私はトンデモ人間不信だしこれまでの人生で人間関係にあまり良い思い出がないのですが、現場の知り合いと一緒にいることは単純に楽しかった。みんな優しくて個性もバラバラだけど、共通して各々の推しのことが大好きだった。一人一人、推しの見てないところでも、どんな顔で、どんな声で推しのことを慈しむのか教えたくなるくらい。私はそうやって推しに愛を真っ直ぐに伝えられるファンがたくさんいるこの場所が大好きです。

 


私はきっとそういった熱量がなかなか表に出ないし、むしろ塩っぽいところはあるけれど、それでも四人のことが大好きです。その中でも推しのことは私の中で一つしかない存在で、その椅子に代わって座る人はいません。この先の人生であなた以外の人間を「推し」と呼ぶつもりはありません。
もっと大きくなるあなたたちのことを、よかったらこれからも光の海の向こう側から見させてよ。

 


8周年おめでとうございます。
2年目の私もよろしくお願いします。