記憶の天窓

好きなものの記憶

分離先のひとりごと

 

みんな優しい。
優しいから悪気はない。悪気なく傷つける。
母も、高校時代のあの子も、先生も、どっかの誰かも。
悪気がないから殺してやりたかった。


悪気がないということは無意識ということだ。
無意識に迫って無意識に傷つけて行く。
無意識だから殺せない。手を出す理由がない。
たちが悪い。
まだ意識的に傷つけて行く方が、こっちだって真っ向から腹を立ててナイフを持っていけるのに。


「負けちゃだめだ」
とは。
この闘いに勝ちも負けもあるのか。向こうが強くて私が弱いだけの話ではないのか。


私には自分の中の揺るぎない正義感などはなく、あなたの正義感など知ったこっちゃなく、よって誰かに味方してほしいとか守ってほしいとかではなく(それは勿論ありがたいという前提で)、ただ放っておいてほしいのだ。
正義はないが私が信じるのは私の弱さと私が愛したものだけだ。


めそめそ布団に潜って泣いているのが一番しょうに合っているのだ。言い返したり第三者に言いつけたりナイフを持ったりそうでなくとも殴りかかったりそういうのではなく。
心臓病で身体的に弱く一番可愛い時代を無下にしたあの子は、大きくなって精神も弱くなりましたよ。いかがでしょうか。

 


ということをメモしていたら母が私を布団から引っ張り出そうと躍起になっている。
そういうところだぞ。


とはいえ今日のは意識的に傷つけられたのだからナイフを持ってよかったのではないか。
持たなかったのはやはり私が弱いからだ。